2014年1月26日日曜日

心房細動カテーテルアブレーション術後急性期注意事項について

心房細動アブレーションの際は、ほとんどの患者さんで肺静脈入口部を焼灼します。私が気に入っているイリゲーションカテーテルを用いると、左右肺静脈と上大静脈の隔離のために要する焼灼時間は合計で約38分です。その通電時間に相当する火傷が心臓に発生します。

どなたでも、1度や2度は、皮膚の火傷を経験したことがあると思います。通常、火傷をした部位は、赤く腫れあがり、ヒリヒリして、痛みを自覚します。火傷の程度にもよりますが、しばらくすると炎症による体液が滲み出てきます。

それと同じことが、心臓の中でも起こるのです。アブレーション時に焼灼した心筋は、火傷で膨れ上がります。その影響により、アブレーション当日や翌日は37℃程度の微熱が出るくらいです。しばらくすると、その火傷した部位から炎症性の物質が放出され、その刺激によって、焼灼をまぬがれた心房筋から、心房細動が引き起こることがあるのです。

以前のデータですが、私が調べた所、慢性心房細動の患者さんの場合は特に多く、約3割の方で、アブレーション後1~3ヶ月以内に心房細動を発症しています。しかし、その多くの人で、その心房細動は次第に落ち着いてきます。そのために、学会のガイドラインにも、「術後3ヶ月位内に発症した心房細動は、急性期一過性の心房細動の可能性もあり、心房細動の再発とはしない」と記載されています。たとえ、アブレーション直後に心房細動が発症しても、次第に落ち着いてくることは、良く経験されるので、気落ちせずに担当医に相談して下さい。

横須賀共済病院 A棟10階からの眺めです。中央やや左手に、東京湾唯一の自然島「猿島」が見え、その先に房総半島が見えます。晴れた日には、青い東京湾全体が見渡せます。

0 件のコメント:

コメントを投稿